XRPは、暗号資産(仮想通貨)の一つであり、リップル社が開発した送金ネットワーク「RippleNet」の中で使われるデジタル資産です。
特に国際送金の分野で注目されており、従来の銀行送金を大幅に効率化するために設計されています。
XRPの基本情報
発行元
リップル社(Ripple Labs Inc.)
発行年
2012年
総発行枚数
1000億枚(追加発行は不可)
取引によって一部のXRPが手数料として焼却(バーン)される仕組みが導入されています。
主な用途
- 国際送金の流動性提供
- 異なる通貨間のブリッジ(橋渡し)
XRPの特徴
- 中央集権性
XRPは完全に分散型というよりは、リップル社を中心としたネットワークにも依存する構造があります。
この点はビットコインやイーサリアムとは異なり、企業・銀行との連携には有利ですが、一部からは分散性の弱さを批判されることもあります。
- 超高速な送金
XRPを使った送金は、3~5秒程度で完了します。これは、従来の国際送金(通常数日かかる)と比べて圧倒的に速いです。
- 低コスト
送金手数料は非常に安く、1回の取引にかかる費用は0.00001XRP程度です。つまり、わずか数円で送金が可能です。
- エネルギー効率が高い
マイニングを必要としない仕組み(コンセンサスアルゴリズム)を採用しており、電力消費が少ないという特徴があります。
- 流動性を提供
XRPは、異なる通貨間の橋渡し役として機能します。たとえば、日本円から米ドルへの送金の場合、一度XRPに変換して送金し、受け取り時に米ドルに変換することで迅速かつ安価な取引が可能です。
XRPとビットコインの違い
| 項目 | リップル(XRP) | ビットコイン(BTC) |
|---|---|---|
| 目的 | 国際送金の効率化 | 決済手段、価値保存 |
| 発行枚数 | 1000億枚(固定) | 約2100万枚 |
| 送金速度 | 3~5秒 | 数分~十数分(場合による) |
| 手数料 | 数円未満 | 数百円以上(混雑時は高騰) |
| エネルギー消費 | 非常に少ない | 非常に多い(マイニングが必要) |
XRPの使い道
- 国際送金
例えば、日本の銀行がアメリカの銀行に送金する際、従来のシステムでは複数の中継銀行を経由するため時間とコストがかかります。
しかし、XRPを使うと直接送金が可能になり、これらの課題を解決します。
- オンデマンド流動性(ODL)
XRPは、銀行や送金業者が即時に資金を調達できる仕組み「オンデマンド流動性」の基盤となっています。
この仕組みにより、国境を越えた取引が効率化されます。
- 送金アプリ
一部の企業では、XRPを活用した個人向け送金アプリが開発されており、将来的には個人間送金でも利用が拡大する可能性があります。
XRPのメリットとデメリット
メリット
- 送金速度の速さと手数料の安さ。
- 金融機関の支持がある(SBIやSantanderなどが採用)。
- エコフレンドリーであること。
デメリット
- 価格の変動が大きい(暗号資産全体の特徴)。
- 規制リスクが存在する(特にアメリカでのSECとの訴訟問題)。
- リップル社に依存しているため、完全な分散型ではないと批判されることも。
リップル訴訟
訴訟の経緯
- 2020年:SEC(米国証券取引委員会)が、リップル(および幹部)を「未登録証券の販売」で提訴。
- 2023年:地裁で判断。「取引所(公開市場)でのXRP販売は証券ではないが、一部機関投資家向け販売は証券の可能性がある」との判断。
- 2024年8月:裁判所がリップルに 1億2500万ドル の罰金と、機関投資家向けXRP販売に関する差し止めを命じる。
2025年:決着と和解
- 和解合意:2025年5月、リップルとSECが和解案を提出。罰金問題では、もともと課された 1億2500万ドル1億2500万ドル1億2500万ドル のうち 5000万ドルを支払うことで合意。
- 資金の返還:残り 7500万ドル はリップルに返還される見込み。
- 差し止め命令:訴訟で課されていた 差し止め命令(特に機関投資家向けXRP販売) の解除を求める動きがあるが、完全な解除には裁判所の判断が必要。
- 控訴の取り下げ:リップルもSECも控訴を取り下げる合意をしており、これによって訴訟が最終的に終了へ。
- 最終確定:ただし、すべての申し立て・注文が即時に変わるわけではなく、手続きには一定の法的確認が残る可能性があります。
意義・影響
- 長かった法的リスクが大幅に軽減 → XRP保有者やリップル側にとって大きな好材料。
- ただし、機関向け販売の制限がどう変わるか(または残るか)は今後の重要ポイント。
- 規制の明確化が進むことで、リップル/XRPを使った金融ビジネス(国際送金、オンチェーン・資産トークン化など)における実用性の拡大が期待される。
XRP(リップル)ETFの動向
非常に注目されているテーマで、最近大きな進展があります。
- カナダでのETF上場
- Purpose Investments が 現物型(スポット)XRP ETF を トロント証券取引所(TSX) に上場。ティッカーは XRPP。
- これにより、カナダの投資家が証券口座を通じてXRPに投資できる道が開かれています。
- 米国でのETF申請・審査
- NYSE + Grayscale がXRPのETFをSECに申請。SECがこれを正式に認識し、最大 240日間のレビュー期間 が始まっています。
- 投資会社 Bitwise、Canary Capital、21Shares、Franklin Templeton など複数がXRP ETFを申請中。専門家の中には 2025年中の承認を見込む声もあります。
- Ripple CEO ブラッド・ガーリングハウス氏は 2025年末までに米国でのETF承認 に自信を示しています。
- 見通しと市場反応
- ETFが正式に承認されれば、機関投資家による資金流入が加速し、流動性や知名度がさらに高まる可能性。
- 一方で、審査には時間がかかるケースもあり、期待だけでなく慎重な見方を持つ投資家もいます。
XRPの将来性
国際金融インフラとしての地位強化
法的リスクが後退する中、リップル社は送金ビジネスや流動性提供(ODLなど)でのユースケースをますます拡大できる。
機関投資家の参入
ETFやその他金融商品を通じて、より多くの機関投資家がXRPにアクセスしやすくなる。これがXRPの価値を長期的に支える可能性がある。
規制環境の明確化
SECとの和解が規制のターニングポイントになる可能性があり、今後の仮想通貨・デジタル資産規制のモデルケースになりえる。
リスク監視は依然重要
価格変動、規制再リスク、さらなる訴訟リスク(可能性は低くなってきているが)、およびリップル社のビジネスモデル自体への信頼性は引き続きチェックが必要。
XRPは、国際送金を効率化するために設計された暗号資産で、送金速度やコスト面で他の通貨に優れています。金融機関の採用実績が多いことから、実用性が非常に高い一方で、規制や法的なリスクも抱えています。今後の技術開発や法的問題の解決により、さらなる成長が期待されています。